ニチアス

ニチアス

   

サステナビリティ

Sustainability

気候変動への取り組み

ニチアスグループカーボンニュートラル宣言

当社グループは2021年4月に「2050年までにカーボンニュートラル達成」を宣言し(注1)、グループの二酸化炭素などの温室効果ガス(以下GHG:Greenhouse Gas)の排出量削減目標を制定しました。その後も世界は、地球温暖化の進⾏により⾃然災害の激化や⽣物多様性への影響が懸念されているなか、脱炭素社会の実現に向け、自然共生型のサステナブルな経済活動への転換が求められています。また国際的な枠組みであるパリ協定は、世界全体の気温上昇を2℃以下に抑えるとともに、さらに努⼒⽬標として1.5℃までに留めることを求めています。


当社グループでは、2021年度よりGHG排出量削減の活動を進めてまいりましたが、活動が順調に進捗し、当初定めた2030年度のマイルストーンである2019年度比GHG排出量30%削減目標を、2024年度末に達成する見込みとなりました。そこで、地球環境への影響のさらなる軽減を⽬指し、気温上昇を1.5℃までに留めるパリ協定の努⼒⽬標にチャレンジするため、2024年4月に新たな目標を制定しました。


注1: ニチアスグループ「カーボンニュートラル宣言」


【新目標】

自社排出量(スコープ1+2) 2030年にGHG排出量を2021年度比で42%削減
2050年度にカーボンニュートラル(実質ゼロ)を達成
サプライチェーン排出量(スコープ3) 注2 2030年度にGHG排出量を2021年度比で25%削減

注2:原材料の調達、スコープ1, 2 に含まれないエネルギー関連活動、販売した製品の使用カテゴリが対象

カーボンニュートラルに向けた活動

当社グループでは主要なGHGであるCO₂の排出量削減活動を、①脱炭素につながるものづくりへの転換、②グループ全体における徹底した省エネルギー、③再生可能エネルギーの積極的活用の3本柱で進めております。

  1. ①脱炭素につながるものづくりへの転換
    製造時のCO₂排出量が特に多い製品については、カーボンニュートラルにむけての当社の重点課題ととらえ、事業の選択と集中を行い、統廃合による一部製品の販売終了、生産拠点の集約によりCO₂排出量の削減に寄与しました。生産を継続する製品についてもCO₂排出量の少ないエネルギーへの転換はもとより、製法の低炭素化を検討し、全社で排出量の削減に努めております。

  2. ②グループ全体における徹底した省エネルギー
    省エネ活動は、従来から実施しておりますが、
    ・自社省エネ技術・製品の活用
    ・各種省エネ機器の導入、設備更新、燃料転換の実施
    ・全製造ラインでの不良低減・生産性向上活動によるエネルギーの無駄削減
    ・全従業員の意識・行動による日々の省エネ徹底
    を、ひとつひとつやり切ることを目標に活動をリスタートしております。

    また、省エネ活動の更なる活性化のため、国内製造拠点を対象として「自責CO₂削減活動」の表彰制度を2023年度より開始いたしました。2024年度は海外製造拠点にも拡大し、省エネを推進しております。毎年前年比1%削減を目標に活動しておりますが、2024年度は国内外製造拠点での省エネ活動で約3,000t-CO₂/年(前年度比1.4%)の削減を実施しております。さらにCO₂排出量の削減につながる投資を促進するため、2021年度に省エネ設備投資ガイドラインを策定し、2025年度も社内炭素価格(インターナルカーボンプライシング)を継続採用しております。社内炭素価格の効果もあり、2024年度に投資した設備により約1,000t-CO₂/年の削減が見込まれます(CO₂排出量削減目標の基準年度である2021年度CO₂排出量の約0.4%に相当)。

  3. ③再生エネルギーの積極的活用
    当社グループでは、再生可能エネルギーの導入を着実に進めるため、2030年度におけるグループ全体の消費電力に対する再生可能エネルギー比率の目標を25%と定めました。この目標達成に向け、以下のように様々な手段での電力調達を検討・実施しております。
    ・製造建屋の屋根上などへの太陽光発電装置の設置
    ・オフサイトPPAの導入※
    ・グリーン電力、環境証書の購入
    2024年度は、ニチアス袋井工場で当社初となるオフサイトPPAによる電力調達を開始しました。この契約における太陽光発電設備は、ニチアスが所有する遊休地に設置されております。住宅地に面していることから、蓄電池を併設し、災害時には昼夜問わず、周辺自治会の皆様の非常用電源とお使いいただくことも可能です。
    また、当社本社ビルや㈱熊本ニチアスなどの事業所においては、再生可能エネルギー由来の電力調達、環境証書の購入により、事業所単体での再生可能エネルギー比率100%を達成しました。
    ※自社の敷地外に設置された再生可能エネルギー発電設備から電力系統設備を介して、長期的に電気を調達する契約形態

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への対応

激甚災害が増加し、経済活動が停滞するなど、気候変動がグローバルに様々な影響を及ぼすことが問題になるなか、当社グループは「断つ・保つ」の技術を基盤とした保温・断熱・保冷などの機能を備えた製品およびサービスの提供を通じ、CO₂排出量削減に貢献してきました。当社グループは、気候変動を地球の明るい未来に対する多大なリスクと捉え、地球温暖化の緩和と適応の両面から積極的に活動を推進しております。2023年6月には、気候変動問題に適切に対応すべく、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明しました。今後は、さらなる脱炭素活動を推進するとともに、気候変動に関する情報開示をさらに積極的に進めてまいります。

 

ガバナンス

当社グループは、ニチアス環境憲章において、「断つ・保つ」の技術を活かし、地球温暖化をはじめとするさまざまな環境負荷を低減し、持続発展可能な社会の実現に貢献することを宣言しており、気候変動対応を重要事項と捉え、全社環境委員会を中心に、環境負荷を低減した製品開発および製造拠点の環境負荷低減を推進しております。

環境委員会は、代表取締役社長を委員長として、取締役および各本部長から構成され、当社グループの気候変動を含む環境問題にかかわる課題についてリスク・機会の分析や取り組みの立案・推進、中期環境方針の策定・進捗管理などを担っております。環境委員会の下には工場部会を設置し、工場部会は、製造拠点の脱炭素目標の達成状況などを確認し、当社グループ全体のパフォーマンスの向上等について議論することにより、製造拠点の取り組みを推進しております。

環境委員会は、四半期に一度開催され、その討議事項を取締役会に報告し、取締役会は当該報告内容について管理・監督しております。

リスク管理

当社グループは、気候変動に関わるリスクとして2030年度を想定し、将来における気温上昇として、1.5℃と4℃の気温帯のシナリオを用いてシナリオ分析を実施しております。具体的には、環境経営推進室が中心となって、当社グループ全体のサプライチェーン、各プロセスを想定し、気候変動リスクの洗い出し、分析を実施し、重要な影響を及ぼす事象への対応を進めております。分析で洗い出されたリスクに対する対応策の進捗については環境委員会で重要リスクを認識したうえで、必要に応じて取締役会で審議し、リスク回避などの対応やリスク発生時の影響低減に向けて活動を推進しております。

戦略

当社グループは、国際エネルギー機関(International Energy Agency;IEA)が発行しているWorld Energy Outlook等から、 2030年度を想定し、低炭素社会への移行が進む1.5℃シナリオ(NZEシナリオ)および気候変動が進む4℃シナリオ(STEPSシナリオ)に基づくシナリオ分析を実施し、気候変動によるリスクと機会の具体的な内容および財務影響を評価しました。

 

2030年に向けてはカーボンニュートラルへの移行段階として省エネ需要が拡大すると想定しており、当社グループの強みである幅広い断熱材ラインアップと省エネ診断サービスにより顧客の省エネに貢献できると考えております。例えば、省エネ診断システム「Thermofit® 」では、診断から対策工事の提案・実施・効果検証までをトータルサポートすることが可能です。また、将来の電力供給については、生成AIなどのデータセンター設置による電力消費の増加に応え、かつ脱炭素化を図るために、非効率な石炭火力発電からアンモニアやLNGを燃料とする発電方式への転換が進むと想定されます。当社は、これらの建設工事の需要増加を機会と捉えております。
2040年に向けては、第7次エネルギー基本計画において、原子力発電を最大限活用することが示されました。再稼働に向けた安全対策工事の需要増加も、当社の機会と捉えております。
そして2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けては、電気自動車をはじめとする次世代車や、水素等の次世代エネルギー関連製品の開発を進めており、実証段階から参画することで将来需要を取り込んでまいります。

指標及び目標

当社グループは、2025年3月、2030年度までの温室効果ガス排出削減目標について、SBTi(Science Based Targets initiative)注3より、SBT認定を取得しました。本認定は5~10年先を目標に掲げた「短期目標(Near-term targets)」であり、当社グループの温室効果ガス削減目標がパリ協定の定める「1.5℃目標」水準に科学的に整合していることを示すものです。

さらに、重点施策の一つである再生可能エネルギーの積極的利用についても、2030年度までの導入目標を25%と定め、推進しております。
 

SBT認定を受けた2030年までのGHG排出削減目標
自社排出量(スコープ1+2) 2030年にGHG排出量を2021年度比で42%削減
2050年度にカーボンニュートラル(実質ゼロ)を達成
サプライチェーン排出量(スコープ3) 注2 2030年度にGHG排出量を2021年度比で25%削減

注2:原材料の調達、スコープ1, 2 に含まれないエネルギー関連活動、販売した製品の使用カテゴリが対象
注3:SBTiはCDP、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4機関が協働で運営するイニシアチブ。独立した立場で、企業のGHG排出削減目標の評価を行う。

 

お知らせ: ニチアスグループの温室効果ガス排出削減目標についてSBT認定を取得(2025/3/14)

 
2024年度GHG排出量実績

GHG排出量の推移

再生可能エネルギー使用実績

 
第三者保障報告書

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