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ニチアス
   

研究開発

Research & Development

2026年 No.415(2026年4号、10月)

ニチアスの「断つ・保つ」® 技術を支えるCAE

 CAE(Computer Aided Engineering)は製品・工程をコンピュータ上で擬似的に再現し,さまざまな検討を支援する技術です。ニチアスでは,研究・開発,設計および製造までのあらゆる工程でCAEを取り入れ,品質やサービスの向上に努めています。ここでは,弊社のCAE技術について事例を通してご紹介します。

第9回 断熱材一体型ヒータの設計で活用される伝熱CAE

 工業炉や熱処理設備においては,加熱工程である昇温・保持・冷却過程での温度管理が重要であり,断熱性の高さはエネルギー効率に,均熱性の高さは製品品質に大きく影響します。
 弊社の「RFモールド®PH」は,断熱材と発熱体を一体化したヒータユニットであり,炉内での効率的かつ安定した加熱を実現します。現在主流である燃焼加熱と異なり,電気加熱のため排ガスのないクリーンな環境を維持できる点も特長です。また,一体型構造により,施工工程を削減できます。CO2削減と設備製作リードタイムの短縮に貢献する製品として,近年注目されています。

対象製品概要

TOMBO™ No.5462-PH 「RFモールド® PH」

 「RFモールド® PH」は, アルミナファイバー系断熱材中に,鉄-クロム-アルミ系発熱体をコイル状にして内蔵した構造で,加熱と断熱を同時に実現できる理想的なヒータユニットです。ご要望に応じて種々の出力・形状で製作が可能です。

【特長】
●リフラクトリーセラミックファイバー(RCF)を含まないため,特化則の適用対象外
●電気加熱のため,排ガスの発生がないクリーンな加熱を実現
●他の加熱方式に比べ,広範囲で均一に発熱するため,炉内の均熱性向上に寄与

解析の目的

 昇温時の大きな熱負荷となるヒータ線の急昇温を抑制することにより,長寿命なコイルヒータ形状を設計する。今回は,埋め込み方式のヒータに対して,コイル外径およびコイルピッチ間隔(コイル一巻あたりの間隔)を大きくすることで,コイル間の断熱材の熱容量を大きくし,ヒータ線の温度上昇が抑制されるかを確認した。

解析対象の形状と条件

●埋め込み方式のヒータユニットに対し,コイルヒータの1ピッチ分を解析する
●コイル形状をリングが連続した形状に簡略化し,さらにリング1個分の幅を解析モデルとする
●ヒータ線を発熱させ,ヒータ線の温度上昇,断熱材や炉内雰囲気への伝熱状態を解析する

CAE解析結果

 ヒータ線の昇温速度を評価するため,代表例として昇温中のある時間のヒータ線および断熱材の温度分布を示す。
 現行品に対して変更後仕様は,最終的な温度は同等であることからヒータ性能としては同等ですが,加熱初期の温度の上昇が抑えられることがわかりました。
 ヒータ線への熱負荷が小さくなり,劣化が抑制されることが予測されます。

まとめ

 RFモールド® PHは断熱材と発熱体の一体成形が必要であるため,試験体の作製やヒータの耐久性評価に膨大な時間と労力を必要とします。
 熱流体CAEを用いることで,設計の初期段階で事前に優劣を予測できます。これにより,お客さまへのご提案のスピードと質の向上に加え,お客さまご自身の設計検討にも有効に活用いただいています。

*「TOMBO」はニチアス(株)の登録商標または商標です。
*®が付されている名称はニチアス(株)の登録商標です。